※当院は現在分娩の取り扱いを中止しています。
※胎児の父子鑑定を含めた親子鑑定に関するご相談や、その血液採取のご希望は承りません。
出生前検査
お子さまの健康状態の向上や適切な養育環境の提供のため、お子さまが生まれつきの病気をもつ可能性があると考えられるときに、遺伝学的検査や形態学的検査を行い、正確な病態や病状を知ることが重要です。しかし医学的・社会的・倫理的に多くの問題があります。出生前検査の受検を考えるのであれば、それぞれのカップルの事情に応じた適切な出生前遺伝カウンセリングが必要です。
外部リンク: 一緒に考えよう、お腹の赤ちゃんの検査 (出生前検査認証制度等運営委員会)
外部リンク: 妊娠中の検査に関する情報サイト (こども家庭庁)
出生前遺伝カウンセリング 要予約自由診療
遺伝カウンセリングは、依頼者であるご本人やご家族のニーズに合わせて遺伝学的情報などを提供し、依頼者がそれを十分に理解した上で自ら意思決定できるように支援する医療行為です。出生前遺伝カウンセリングは、妊婦さまとパートナー、そしてお子さまの三者の立場を同時に考え、判明した状況によって妊娠を継続するかどうかを含めた重大な決断を、限られた時間の中で迫られる可能性があるという特徴があります。
出生前検査は遺伝学的検査と形態学的検査に大別され、相互に補い合っています。
①遺伝学的検査 お子さまの染色体や遺伝子を調べる検査であり、人体の設計図の特徴がわかります。もし設計図に変化があれば、できあがる身体の変化を予測できるかもしれません。しかし実際にできあがった身体の状態は、形態学的検査を行わなければ判断できません。遺伝学的検査は、さらに非確定的検査と確定的検査に分類されます。
②形態学的検査 検査時点のお子さまの形態学的特徴を調べる検査であり、設計図をもとにできあがった身体の状態がわかります。もし形態的な変化があれば、その原因である設計図の変化を予測できるかもしれません。しかし設計図の変化は、遺伝学的検査を行わなければ判断できません。
※色が濃い部分:おすすめの時期 色が薄い部分:次におすすめの時期 色がない部分:検査は可能です
①非確定的検査 子どもが対象疾患にかかっている可能性の高さを知りたい
→NIPT (非侵襲性出生前遺伝学的検査)・超音波マーカー検査・コンバインド検査・クアトロテスト®
②確定的検査 子どもが染色体疾患にかかっている確定的な結果を知りたい
→絨毛検査・羊水検査 〔アナログ染色体解析 (G分染法・核型判定検査) ほか〕
③形態学的検査 子どもの先天性形態異常 (身体のかたちの変化) の有無を知りたい
→胎児超音波検査
出生前検査の種類によって、方法・対象疾患・時期・母児のリスク・精度・結果の表現・結果報告に要する日数・費用負担・受検後の選択肢などがかわります。受検前に各検査の特徴を十分に理解し、お子さまの 「何を」 「いつまでに」 知りたいか、ご夫婦それぞれの 「知る権利」 と 「知らないでいる権利」 や価値観や優先順位を一緒に考えましょう。期待している (していない) 結果であればどうしたいのか、ご夫婦にとって最良の選択肢を検討する必要があります。
妊娠初期に NIPT を受け、妊娠中期に胎児超音波検査を受けるなど、二つの検査を組み合わせて検査精度を高めつつ検査対象を広げる選択肢もあります。一つの検査しか受けられないわけではありません。
●非侵襲性出生前遺伝学的検査 (NIPT:non-invasive prenatal genetic testing) 要予約自由診療
方法 | 妊娠女性の血液中に浮遊する胎盤由来の胎児セルフリーDNA (cell free DNA) を、MPS (massive parallel sequencing) 法によって解析する血液検査です。採血量は 10 mL です。 |
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対象疾患 | 21トリソミー (ダウン症候群)・18トリソミー (エドワーズ症候群)・13トリソミー (パトゥ症候群) |
検査時期 | 妊娠10週0日から |
報告日数 | 4~7日 (最大14日) |
費用負担 | 税込 102,000 円 (出生前遺伝カウンセリング料や文書料が別途発生します) |
精度 |
21トリソミー 感度>99.99% 特異度 99.9% 陽性的中率 98.4% 陰性的中率>99.99% 18トリソミー 感度>99.99% 特異度 99.9% 陽性的中率 95.3% 陰性的中率>99.99% 13トリソミー 感度>99.99% 特異度 99.9% 陽性的中率 92.8% 陰性的中率>99.99% ※ Illumina 社 VeriSeqTM NIPT Solution v2 Package Insert による |
結果の表現 |
21トリソミー・18トリソミー・13トリソミーそれぞれについて判定します 陽性: 対象疾患である可能性が高い ※確定的検査の実施が必要です 陰性: 対象疾患である可能性が低い 判定保留: 判定できない ※原則的に確定的検査の実施が必要です |
受検条件 |
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母児リスク | ありません |
備考 | 陽性または判定保留であれば、当院で受検する確定的検査は無料です。胎児超音波検査 (有料) で形態異常を認めれば絨毛検査を、形態異常を認めなければ羊水検査の選択をおすすめします。 |
※当院は日本医学会の出生前検査認証制度等運営委員会が認定する NIPT 認証施設 (福田病院を基幹施設とする連携施設) です。院長は福田病院の周産期外来・胎児診療外来・NIPT外来を兼任しています。
※陰性であれば、分娩施設の産科医に、当院に分娩転帰 (妊娠経過や結果) をご報告いただく必要があります。陽性や判定不能であれば、確定的検査の実施有無や結果にかかわらず、基幹施設で分娩する必要があります。
※出生前コンサルト小児科医のカウンセリングをご希望であれば、福田病院の小児科 (新生児科) をご紹介します。
※21トリソミー・18トリソミー・13トリソミー以外の先天性疾患や、お子さまの性別は判定されません。
※リッツメディカル株式会社の外部委託機関である日本遺伝子医学株式会社に解析を依頼しています。
●超音波マーカー検査・コンバインド検査 要予約自由診療
①超音波マーカー検査
方法 | 胎児の後頸部透亮像 (NT: 胎児のくびの後ろの皮下組織の厚さ)・心拍数・鼻骨像・三尖弁血流・静脈管血流を計測する超音波検査です。英国胎児医学財団 (FMF) の The first trimester screening program 2012 により、お子さまが対象の染色体疾患をもつ確率を計算します。 |
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対象疾患 | 21トリソミー (ダウン症候群)・18トリソミー (エドワーズ症候群)・13トリソミー (パトゥ症候群) |
検査時期 | 妊娠11週0日~妊娠13週6日 かつ 頭殿長 45~84 mm |
報告日数 | 当日 |
費用負担 | 税込 33,000 円 (出生前遺伝カウンセリング料・文書料・時間超過加算が別途発生します) |
精度 | 21トリソミー カットオフ値を 1/100 として 感度 85% 特異度 97.3% 陽性的中率 24.1% 陰性的中率 99.8% |
結果の表現 |
21トリソミー・18トリソミー・13トリソミーそれぞれについて確率 (○分の1) を算出します 高リスク: ≧1/99 中リスク: 1/100~1/299 低リスク: ≦1/300 |
受検条件 | ありません |
母児リスク | ありません |
備考 | リスクの程度や胎児形態異常の有無により、追加検査の実施をご相談いただけます。 |
②コンバインド検査
方法 | 超音波検査と血液検査の組み合わせです。超音波検査で後頸部透亮像・心拍数・鼻骨像・三尖弁血流・静脈管血流を、血液検査で free β-hCG・PAPP-A を測定し、The first trimester screening program 2012 により、お子さまが対象疾患をもつ確率を計算します。採血量は 10 mL です。 |
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対象疾患 | 21トリソミー (ダウン症候群)・18トリソミー (エドワーズ症候群)・13トリソミー (パトゥ症候群) |
検査時期 | 妊娠11週0日~妊娠13週6日 かつ 頭殿長 45~84 mm |
報告日数 | 1~2日 |
費用負担 | 税込 60,500 円 (出生前遺伝カウンセリング料・文書料・時間超過加算が別途発生します) |
精度 | 21トリソミー カットオフ値を 1/100 として 感度 95% 特異度 97.5% 陽性的中率 27.7% 陰性的中率 99.9% |
結果の表現 |
21トリソミー・18トリソミー・13トリソミーそれぞれについて確率 (○分の1) を算出します 高リスク: ≧1/99 中リスク: 1/100~1/299 低リスク: ≦1/300 |
受検条件 | ありません |
母児リスク | ありません |
備考 | Free beta-hCG・PAPP-A の測定のみの取り扱いはありません。リスクの程度や胎児形態異常の有無により、追加検査の実施をご相談いただけます。 |
●妊娠中期・母体血清マーカー検査 (クアトロテスト®) 要予約自由診療
方法 | 妊娠女性の血液中のがん胎児性蛋白 (AFP)・ヒト絨毛性ゴナドトロピン (hCG)・エストリオール・インヒビンAの濃度を測定する血液検査です。採血量は 10 mL です。 |
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対象疾患 | 21トリソミー (ダウン症候群)・18トリソミー (エドワーズ症候群)・開放性神経管奇形 |
推奨時期 | 妊娠15週0日~妊娠16週6日 |
報告日数 | 10日 |
費用負担 | 税込 27,500 円 (出生前遺伝カウンセリング料や文書料が別途発生します) |
精度 |
21トリソミー カットオフ値を 1/295 として 感度 86.7% 特異度 90.9% 陽性的中率 2.2% 陰性的中率 99.9% 18トリソミー カットオフ値を 1/100 として 感度 77.3% 特異度 99.6% 陽性的中率 12.3% 陰性的中率 99.9% 開放性神経管奇形 カットオフ値を 1/145 として 感度 83.0% 特異度 99.6% 陽性的中率 15.0% 陰性的中率 99.9% ※ラボコープ・ジャパン合同会社のデータより算出
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結果の表現 |
21トリソミー・18トリソミー・開放性神経管奇形それぞれについて確率 (○分の1) を算出します。 ※18トリソミーは、双胎妊娠であればリスクは算出できません。 ※開放性神経管奇形は、以下の場合にリスクは算出できません。 ①単胎妊娠で妊婦さまに神経管奇形の家族歴があるかつインスリン依存性糖尿病がある ②双胎妊娠で妊婦さまに神経管奇形の家族歴があるまたはインスリン依存性糖尿病がある
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受検条件 | ありません |
母児リスク | ありません |
備考 | 対象疾患でハイリスクと判定された場合は、追加検査の実施をご相談いただけます。 |
●絨毛検査 (基本検査: アナログ染色体解析 G分染法による核型判定検査) 要予約自由診療
●羊水検査 (基本検査: アナログ染色体解析 G分染法による核型判定検査) 要予約自由診療
絨毛検査 | 羊水検査 | |
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実施時期※1 | 妊娠11~14 (~17) 週 | 妊娠 (15~) 16週以降 |
穿刺部位 | 母体腹壁 | |
穿刺する胎児側の膜 | 絨毛膜 | 絨毛膜と羊膜 |
模式図※2 | 針先: 絨毛内 |
針先: 羊膜腔 |
穿刺方法 | (超音波ガイド下) ダブルニードル法 | (超音波ガイド下) シングルニードル法 |
穿刺針 | 18G/20G (1.26 mm/0.88 mm) | 23G (0.63 mm) |
局所麻酔 | あり (キシロカイン®注射液 0.5%) | 通常なし |
胎児・臍帯損傷リスク | 通常なし | あり |
流産率※3 | 1.4% | 0.9% |
穿刺手技の流産リスク※3 | 0.2% | 0.3% |
胎盤限局性モザイク※4 | <2% | 通常なし |
- ※1. 当院は①妊娠15週、②妊娠16~17週で絨毛膜羊膜分離や羊水過少がある場合、は絨毛検査を推奨しています。
- ※2. 夫律子. 周産期医学 2019: 49: 1457-65. ※3. Solomon LJ, et al. Ultrasound Obstet Gynecol 2019: 54: 442-51.
- ※4. Grati FR. J Clin Med 2014: 3: 809-37.
【共通事項】
-
①実施条件 (確定的検査はご希望のみで実施できません。以下のいずれかの条件が必要です)
- ●非確定的検査で胎児が染色体疾患をもつ可能性が高いと判定されている
- ●胎児超音波検査で遺伝学的な変化が疑われる形態異常が認められる
- ●高年妊娠である (分娩予定日における母体年齢35歳以上)
- ●染色体疾患をもつ子どもを妊娠または分娩した既往がある
- ●夫婦のいずれかが染色体疾患の保因者である
- ●夫婦のいずれかが成人までに発症する可能性がある重篤な遺伝病の保因者である
- ●そのほか胎児が重篤な疾患に罹患している可能性がある場合
-
②検査概要と解析方法
超音波ガイド下に、妊婦さまの下腹部から子宮壁に細い針を穿刺し、絨毛組織や羊水を採取して解析します。染色体や遺伝子をどこまで詳細に調べるか、検査方法の特性や検出限界を考えて、ご夫婦とお子さまの状態に合わせて最適な選択肢や組み合わせをご提案します。検査結果の開示と同時に解釈や今後の方針について情報提供します。※検査委託機関: リッツメディカル株式会社 (大阪市)
- (1) アナログ染色体解析 (G分染法による核型判定検査) 報告日数 10~17日
特徴 胎児由来の細胞を培養し、染色体の形態の特徴を識別できる分裂中期 (M期) の細胞を選んで解析します。染色体数の異常である異数体や、染色体構造の異常である欠失・重複・逆位・転座などの有無を、顕微鏡でわかる範囲 (550バンドレベル) で調べます。染色体を解析する上で最も基本的な方法です。限界 検出限界は 5~10 Mb (1 Mb=100万塩基対=遺伝子100個相当) です。顕微鏡でわからないわずかな変化 (微細構造変化や遺伝子変異) は検出されません。リンパ球を用いる高精度分染法 (850バンドレベル) よりも解析精度が劣るため、出生後に染色体疾患が判明する場合があります。低頻度のモザイク (正常染色体細胞と正常でない染色体細胞の両方をもつ胎児) は検出されない可能性があります。
- (2) 迅速 QF-PCR 検査 報告日数 1~2日
特徴 胎児由来の細胞から DNA を抽出して PCR 法で増幅し、細胞を培養せずに13番染色体・18番染色体・21番染色体と性染色体の数的異常を迅速に解析します。利点 13トリソミー・18トリソミー・21トリソミーや性染色体の異数性が早期にわかります。限界 アナログ染色体解析の補助的な検査です。モノソミーや13番染色体・18番染色体・21番染色体・性染色体以外の数的異常はわかりません。全染色体において構造異常・微細構造変化・遺伝子変異・低頻度のモザイクは検出されません。
- (3) デジタル染色体解析 (D-karyo®) アナログ染色体解析の結果と同時に出ます。
特徴 胎児由来の細胞から DNA を抽出し、細胞を培養せずに次世代シーケンサー (NGS) を用いて、染色体数の異常である異数体や、染色体構造の異常である欠失・重複・逆位・転座などの有無を調べます。アナログ染色体解析で検出できない、染色体の微細構造変化と 20%以上のモザイクを検出します。利点 全染色体の数的変化と構造変化を判定でき、検出限界はアナログ染色体解析よりも優れます。限界 1 Mb未満の微細欠失・2 Mb未満の微細重複・均衡型の染色体変化・遺伝子変異・低頻度のモザイクは検出されません。不均衡型の染色体疾患における構造異常の種類はわかりません。陽性であれば、正確な診断のため両親の血液を含む染色体マイクロアレイ解析が必要です。
- (4) 染色体マイクロアレイ解析 報告日数 7~10日
特徴 胎児由来の細胞から DNA を抽出し、細胞を培養せずに一塩基多型を検出する SNP アレイを用いて、染色体数の異常である異数体や、染色体構造の異常である欠失・重複・逆位・転座などの有無を調べます。アナログ染色体解析で検出できない、染色体の微細構造変化・コピー数多型・5%以上のモザイクを検出します。病的でない変化を両親から引き継ぐ場合があるため、全例で両親を含めて検査を実施するトリオ解析が必要です。利点 全染色体の数的変化と構造変化を判定でき、検出限界はアナログ染色体解析よりも優れます。染色体の一部が片親のみに由来する特徴である片親性ダイソミーを検出できます。限界 検出限界は約 5~20万塩基対 (50~200 Kb) です。均衡型の染色体変化や遺伝子変異は検出できません。不均衡型の染色体疾患における構造異常の種類はわかりません。本来の目的と関連しない所見 (近親婚などの血族関係・非父性・対処できない臨床的有用性の確立していない成人発症疾患・二次的所見など) や臨床的な重要性がわからない染色体変化 (VUS) が検出される場合があります。
- (5) FISH 法 報告日数 4~6日
特徴 染色体における特定の遺伝学的変化を解析する方法です。(準備中)
- (6) サンガーシーケンス
特徴 ご夫婦の血液検査を含む、単一遺伝子の変異解析です。 (準備中)
- (7) 標的エクソーム配列解析 (TruSight One Expanded Sequencing Panel)
特徴 ご夫婦の血液検査を含む、6704種類の遺伝子変異の解析です。 (準備中)
- (1) アナログ染色体解析 (G分染法による核型判定検査) 報告日数 10~17日
-
③リスクと備考
- ●切迫流産や絨毛膜下血種などの医学的理由で検査できない場合があります。
- ●穿刺部の疼痛・感染・血腫形成や、子宮収縮感・不正性器出血・破水・流産などの合併症がまれに発生します。
- ●妊婦さまの血液型が Rh 陰性かつパートナーの血液型が Rh 陽性であれば、感作予防のために検査実施後に抗Dヒト免疫グロブリン投与 (税込み 22,000円) が必要です。
- ●確定的検査でわかる疾患は、先天性疾患全体の一部です。
●胎児超音波検査 要予約自由診療
妊婦健診の 「通常超音波検査」 でお子さまに異常が疑われたときに、精密検査として 「胎児超音波検査」 で形態異常を診断します。しかし通常超音波検査でお子さまの異常に必ず気付けるとは限りません。超音波診断装置の性能、超音波検者の知識や技術、外来診療時間の制限などによってその発見率は大きく変化します。
院長は母校で胎児遺伝外来を、現在は福田病院で胎児診療外来を担当し、一次施設や高次施設と連携して胎児疾患の診断や管理に関わっています。生まれつきの病気の全てが生まれる前に見つかるわけではなく、決して助からない疾患が見つかる場合も、早期の適切な管理や治療によって助かる疾患が見つかる場合もあります。
お子さまの健やかな成長を望んでいるご夫婦の 「子どもに何かあれば教えてほしい」 というご期待に応えたい。胎児診断に精通した専門医が、精密評価できる超音波診断装置を駆使し、十分に時間をかけてお子さまの全体を細部まで詳しく調べます。私たちはご夫婦の不安や葛藤と向き合い、これをできるだけ取り除くために尽力します。
※胎児超音波検査でわかる疾患は、先天性疾患全体の一部です。
※多胎妊娠を含めて、他院に通院中であっても胎児超音波検査は実施可能です。
※母体体格 (過体重や肥満)・母体腫瘍 (子宮筋腫や子宮腺筋症)・腸管の音響陰影 (子宮前面に腸管がある)・腹壁瘢痕 (手術のきずあと)・お子さまの姿勢 (胎位・胎向・胎勢) の影響で複数回の診察を要したり、お子さまの全体や一部を正確に評価できなかったりする場合があります。
※胎児性別評価の注意点はこちら
※院長が所有している胎児診断関連資格
●専門資格: 産婦人科専門医・周産期専門医 (母体・胎児)・超音波専門医・臨床遺伝専門医
●認定資格: 英国胎児医学財団 (FMF:Fetal Medicine Foundation) 妊娠初期胎児超音波認定者
〔認定項目: NT (後頸部透亮像)・NB (鼻骨)・TR (三尖弁血流)・DV (静脈管血流)〕
①妊娠初期・胎児超音波検査 (妊娠11週0日~13週6日: 妊娠12週推奨)
頭蓋冠・横顔・大脳・脳室・脈絡叢・小脳・眼球・耳介・上顎・下顎・体幹臓器配列・心臓 (四腔断面像・三血管像・大血管交叉)・肺・胃泡・横隔膜・腹部臓器・四肢・脊椎・臍帯・絨毛や胎児水腫所見など、お子さまの全身を超音波検査で詳しく調べます。通常は胎児全身形態評価として超音波マーカー検査やコンバインド検査と同時に行います。
②妊娠中期・胎児超音波検査 (妊娠18週0日~27週6日: 妊娠23~24週推奨)
出生前の管理や治療、経腟分娩時の胎児心拍数モニタリングの慎重評価、帝王切開分娩、出生後の管理や治療などを要する胎児疾患や胎児付属物疾患を中心に、お子さまの全身を超音波検査で走査します。
1)全身: 推定胎児体重・プロポーション (全身のバランス)・胎児運動・骨格 (脊椎・骨盤・四肢)・胎児水腫所見
2)頭部: 頭蓋冠・横顔・大脳・脳室・脈絡叢・小脳・眼球・耳介・鼻骨形成・鼻孔・口唇・舌・上顎・下顎
3)心臓: 四腔断面像・大血管交叉・流出路・三血管像・三血管気管像・大動脈弓・動脈管弓
4)胸部:(心臓以外) 肺・食道・甲状腺・胸腺・気管・気管支・肋骨
5)腹部: 横隔膜・胃泡・脾臓・肝臓・胆嚢・副腎・腎臓・腸管・膀胱・腹壁・肛門管・外性器
6)血管: 腹腔内臍静脈・静脈管・下大静脈・上大静脈・臍動脈
7)胎児付属物: 胎盤・臍帯・羊水
8)経腟超音波検査: 胎盤位置・前置血管・頸管長 (早産徴候)
③周産期セカンドオピニオン外来
他施設に通院中に胎児異常を疑われた・認めた場合の二次評価です。診察後に当院の見立てをご説明し、かかりつけ医や高次施設と連携して方針を相談します。 (※できるだけ紹介状や異常を示唆する写真をお持ちください。)
●周産期遺伝相談外来 要予約自由診療
妊娠に関するお悩みを中心に全般的なご相談を承ります。相談内容によって詳細な家系図の作成・最新のエビデンス調査 (医学論文の取り寄せなど)・同科や他科の専門医師のコンサルトなどが必要になるため、複数回に渡る出生前遺伝カウンセリングを実施する場合がありますのでご了承ください。
相談例
●現在妊娠初期で34歳ですが、35歳で出産する予定です。高年妊娠の影響を知りたいので教えてください。
⇒高年の一般的な影響に関するご相談のみをご希望であれば即日情報提供できます。実際にお子さまの疾患の有無を調べるには遺伝学的検査や形態学的検査といった出生前検査を要します。
●妊娠が判明する前にレントゲン写真を撮りました。妊娠に影響している可能性がどれくらいあるかを知りたいです。
⇒妊娠何週何日に、からだのどの部位にどう撮影したか (単純撮影・CT撮影・透視検査など) によって影響する程度はかわります。これをお調べの上でご来院ください。撮影内容がわからなくてもご相談は可能です。
●自分の家系で遺伝的な病気の親族がいます。胎児に遺伝する可能性がどれくらいあるかを教えてください。
⇒「遺伝的な病気」 の診断根拠を含めた正確な病名と、三世代以上の詳細な家系図の作成が必要です。遺伝する可能性が高い疾患であれば両家の家系全体の問題に発展するかもしれません。慎重な対応を要します。
●現在ほかの病院で妊婦健診を受けています。胎児のくびにむくみがあるから、と羊水検査を提案されました。
⇒お子さまの後頸部透亮像は母体年齢・妊娠週数・厚さによって意義がかわる指標です。正確に適切に測定されていなければ過大評価・過小評価につながります。当院で再測定・再評価できます。